狩猟民族の館(Hunting Factory)

狩猟、川漁、採取に関することをメインとしたブログのはずが、最近は農耕民族となり無農薬、無化学肥料、自家採取種、温床による育苗、無肥料にも挑戦、で野菜作りもやってます。そして日本ミツバチも飼い始めましたが前途多難。since2007.7 

研修旅行

11月2日、3日の2日間は、高梁川漁業協同組合役員の研修旅行に行ってきました。

研修旅行と言っても、自河川である高梁川を河口から源流まで幹線流路延長111kmのほとんどを視察するというこだわった内容のものです。

まず、私の担当地区である最も下流の潮止堰で、河川の水を取水している岡山県企業局工業用水道事務所の方々から説明を受けます。

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ここは、魚類の下降と遡上を妨げている漁協としては最も最悪な施設ですが、企業局の方々はそんな意識は全くなく岡山県の工業発展に貢献していると思っていることでしょう。

どの施設も河川環境のことより、自分達が日々行っている仕事のことで頭が一杯でしょうから仕方が無い事ではありますが、それでは河川環境を改善していくことはできませんからね。

そこで、「各企業に魚類のことを少しでも理解してもらい、協力して河川環境を改善していこう」という今回の旅行の主たる目的があるわけです。

ここでは非常に良い話を聞くことができました。

この潮止堰は、完成してから44年もの月日が流れ、内部は亀裂や崩落しているヵ所が多くあるので、「これが役目を果たせなくなったらどうするのですか?」という質問に対して「この施設を新しくするということに対しては国土交通省の許可が下りないでしょうから今の所どうなるのかわかりません」との回答です。

平成9年度に河川法が変わり、今まで治水と利水が目的だったものに「河川環境の整備と保全」が加わりましたからこういった環境には最悪な施設を新たに新設することはあり得ないでしょうからね。

私としては、上流にある既存の取水井と河川環境に影響が少ない新しい取水方法で水量を賄うべきだと考えています。



次は、これも私の担当地区にある、農業用水を取水している高梁川東西用水組合です。

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ここも、魚類の下降と遡上を妨げている笠井堰があり漁協としては最も最悪な施設の一つです。

完成したのが大正時代ですから、河川環境のことなど全く考えずにできた施設です。

石で造った酒津樋門は、文化財としての価値があります。でも、スクリーンの目が大きいので、ここから魚類が用水に大量に入り込んでしまいます。

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ここでは、事務所の中で施設に関する説明をしていただき、最後に質疑応答を行いました。

副管理者の方に、「ここに設置している魚道を見たことがありますか?」「堰の石積みのあちらこちらから水が漏れているのをご存知ですか?」の問いに、「魚道は見たことがありません」「水が漏れていることも知りません」とのこどでした。ちなみに管理者は、倉敷市長です。



次は、高梁川漁業協同組合が運営して、鮎を養殖している栽培漁業研究所です。

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現在の鮎の様子を視察して、その後に昼食。

無数の糸のように見えるのが、現在の稚鮎の様子です。

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一池に約100万匹が泳いでいます。池は全部で6池で約500万匹。



次は、農業用水を取水している施設で、高梁川合同堰と湛井十二ヶ郷用水路です。

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ここは常駐の職員が居ないようで、パンフレットのみを配布してもらっています。

バスから施設を眺めながら、地元理事からの説明を聞きます。

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ここから先は、高梁川の源流に近い千屋ダムまでトイレ休憩をしながら一気に移動します。

移動は、担当地区の役員が漁場の様子を説明しながら、高梁川に沿って国道180号線を走ります。


千屋ダムでは、岡山県備中県民局 高梁川ダム統合管理事務所が管理している「河本ダム」「千屋ダム」「高瀬川ダム」「三室川ダム」の担当者が集結して出迎えていただきました。

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会議室でダムに関する説明を受け、最後に質疑応答の時間をいただきました。

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直接ダムの管理者と接するのは初めてだったので、多くの質問が漁協側から出されましたが、岡山県側も初めてのことで予期せぬ質問に戸惑いの様子でした。

ここでも、職員達はダム本体に関することのみに目が向いており、下流の河川で何が起こっているのかを何も知らないようでした。

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この千屋ダムは、河川には何も影響が無いということで、高梁川漁協との協議なしで計画が決まり竣工されました。

完成後は河川環境が激変してしまい、その原因を探る目的もありここまで視察に来て説明を受けました。

お蔭で、ダムにおけるこの部分が影響して河川環境が変化したのだろうという、原因の一端を見つけることができました。

今後は、継続して岡山県と協議しながら、河川環境を回復する方法を模索していきたいと考えています。


翌日は、バスで通行可能な「河本ダム」を視察して、高梁川の支流である「佐伏川」と「有漢川」を視察して帰路につきました。



今回の研修旅行は、今までにも増して非常に有意義で価値ある旅行となりました。役員相互で、問題のある事柄について認識が一つになったことから今後の運営に必ずプラスになると思います。また、各関係機関においても河川環境に目を向けるきっかけになり、高梁川の河川環境を改善してゆく大きな一歩になったと感じています。



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コメント

頑張って下さい

僕も小さな漁協ながら、過去に理事をやっておりましたが、電力会社や行政、まあ、頭の痛いことばかりですね。大変でしょうが頑張って下さい。

一つの川で

 治水から見た川、漁協から見た川など色々な視点から見て全部が納得のいく形が早く作れればよいですね。
 堰は作る、だけども魚道にはほぼ影響が無い。 とかいう形がもうどこかにはありそうですけども。

水産資源をはぐくむ環境

水産資源の利用・管理にそぐわない水利については歴史的な経緯があって一筋縄では行かないと思いますが、利害関係を調整できる場に問題を提示することが必要ですね。地元と国の議会とそれを支える市民の理解、問題のありかを認識すること、から解決の道が開けると思います。水産が一方的に被害を受ける単純な対立的な構図はストップさせねばなりません。

川で産卵・孵化したアユが川を下って海の浅瀬(砂浜)で育つことを知っている一般市民はゼロに近いのではないでしょうか。孵化してから高梁川の河口を降る時に潮止めの堰が障害となっている問題を知ってもらうためには、地元の宝の生態をよく知ってもらう、学校でも学習してもらうことが必要でしょう。(稚魚の放流事業の真似事だけでは理解されないと思います:放流しないで十分再生産できるように環境を保全することが重要であることをわかってもらうべきですね)

川ガニさんが念願の潮止め堰の撤去で、アユだけでなく、河口のヤマトシジミとハマグリが復活する路が開けることも重要なポイントでしょう。

倉敷市は全国的に見て自然環境に対する意識が高いと思います。自然史博物館のネットワークなどにも情報を流して理解・応援してもらえる層を厚くしたらいかがでしょう。
http://www.freeml.com/kuranet

いいですね!

漁業関係者、土木関係者、行政、それぞれが意見を出し合い、納得した上での公共工事が行われるといいですね。
互いが自分の利権だけを主張しているのではなく、お互いの立場を「知らない」場合も多いと思うのです。

問題点追求や解決のための行動、互いの意見を踏まえた歩み寄り。
川ガニさんのブログのこういう所が素晴らしいと思います。

(とちょっとヨイショします。笑)

坪ちゃんさん

ありがとうございます。ほんとに漁協の理事って大変ですね。一生懸命に河川環境を良くしようと努力しても、行政や企業、一般の方には理解されないことが多いですからね。なのにどうしてここまでやってしまうのだろうか?と日々自分自身に問っている状態です(笑)

長宗我部元親さん

河川に関わる全ての者が完全に納得のゆくものというのは難しいいでしょうが、せめて自己主張のみで相手のことを理解しようとしない態度は無くしてもらいたいものです。
堰については、河川環境に影響がありすぎるので今の時代に新設するという考えを持っている行政な無いと思いますが、今あるものをどのように運営管理して河川への影響を少なくするかが問題ですね。

beachmolluscさん

色々と参考になるアドバイスをありがとうございます。私も漁協単独ではなく一般の方たちと協力して河川環境を保全していく必要があると感じています。今後も川のことを広く一般の方に知ってもらうように努力していきます。

> 倉敷市は全国的に見て自然環境に対する意識が高いと思います。自然史博物館のネットワークなどにも情報を流して理解・応援してもらえる層を厚くしたらいかがでしょう。
> http://www.freeml.com/kuranet
色々と本当にありがとうございます。こういった取り組みが行われているのは心強いですが、行政も縦割りなので他の分野では完璧に無視されています。現在施工が始まった倉敷市の橋も、「影響が無いから」と現地の調査も無く一方的に漁協を無視して工事を始めました。今の時代にも、こういうことが平然と行われてるんですからね。河川環境を保全するには本当に多大な根気と気力が必要ですね。

じゃんさん

最近は、関係機関の方々の理解深まり話し合いの場と時間をいただきお互いに納得のいく結果になることもありますが、行政の一方的な偏見を持った考えを押し付けられることもまだまだあります。
こういった問題が重なるので、忙しくて頭の切り替えができないのでほぼ消滅しかかっているこのブログです(笑)

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動物の生態を観察し、猟・漁の技術を高め、獲物の処理と調理方法にこだわり美味しく頂くこと念頭に行動しています。

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